【解決事例】身の回りのお世話をしてくれる甥へ財産を遺したい。生前に「公正証書遺言」を作成したケース
- 2026.11.03
◆ ご相談者様のプロフィールとご相談背景
・ご相談者様(被相続人):東大阪市在住・80代女性(配偶者なし・お子様なし)
・相続人(財産を受け取る方): 甥(日頃から身の回りのお世話をしてくれているご親族)主な対象財産
・相続財産: 銀行預金(1口座)
♦ご相談内容:「甥に預金を確実に遺したいが、入院中で公証役場へ行けない」
お子様がいらっしゃらない東大阪市在住の叔母様より、ご自身の生前対策に関するご相談をいただきました。高齢者施設で生活されていたご相談者様は、日常の買い物や通院の付き添いなど、親身になって身の回りのお世話を続けてくれていた甥っ子様に対し、「感謝の気持ちとして、手元の預金をすべて甥に遺したい」と強く望まれていました。
しかし、ご本人は足腰が弱っており外出が困難な状態でした。さらに、遺言書作成の準備を進めていた矢先に体調を崩され、急遽病院へ入院することになってしまいました。「公証役場へ出向くことができないのに、公正証書遺言など作れるのだろうか」「このまま何もできずに万一のことがあったら、甥に財産が渡らないのではないか」と、強い焦りと不安を抱えていらっしゃいました。
⚠️【法律上の注意点】お子様がいない方の遺産は誰に渡る?
配偶者やお子様がいらっしゃらない場合、法定相続人は「ご両親(直系尊属)」、ご両親が他界されている場合は「兄弟姉妹(兄弟姉妹が他界している場合はその子=甥・姪)」となります。
もし遺言書がない状態で相続が発生した場合、法定相続人全員による遺産分割協議が必要になります。特定のお世話になった甥っ子様に財産を遺したくても、他の兄弟姉妹や疎遠な親族に法定相続分が分配されてしまい、希望通りの相続が実現できなくなる危険性があります。
♦なぜ「お元気なうちに遺言書を作成しておくことが非常に重要」なのか?
生前の遺言書作成において、お元気なうちに遺言書を作成しておくことが非常に重要である最大の理由は、「遺言能力(判断能力)」の問題です。
民法上、遺言書を作成するには、遺言の内容とその結果を正しく理解できる意思能力が求められます。病気や加齢によって認知症の症状が進み、公証人との受け答えや意思の確認が困難であると判断されてしまうと、公正証書遺言の作成自体を公証人から断られてしまう(不受理となる)ケースがあります。
体調が急変してから慌てるのではなく、判断能力がしっかりと保たれているうちに準備を完了させておくことが、ご自身の想いを法的に実現する確実な防衛策となります。
参照:日本公証人連合会「公正証書遺言とは」
♦当事務所のサポート内容:病院への公証人出張手配と証人立ち会い
当事務所では、ご相談者様が外出できない状況下でも確実に公正証書遺言を遺せるよう、以下の体制で迅速にサポートいたしました。
① 公証人の「病床執務(出張制度)」を迅速に手配
公証役場へ足を運ぶことができない場合、公証人に自宅・介護施設・病院まで直接来てもらう「出張制度(公証人手数料令に基づく病床執務等)」が利用できます。
当初は入居中の老人ホームへ出張してもらう手筈でしたが、急遽入院となったため、当事務所の司法書士が公証役場および病院側の担当者(ソーシャルワーカーや看護師)と直ちに日程や面会条件を再調整。病室のベッドサイドへ公証人に来訪いただく環境を整えました。
② 司法書士事務所のスタッフ2名が「証人」として立ち会い
公正証書遺言の作成時には、法律(民法第969条)により2名以上の証人の立ち会いが義務付けられています。しかし、財産を受け取る予定の方(今回の甥っ子様など)やその配偶者・直系血族は、利害関係があるため証人になることができません(民法第974条:証人の欠格事由)。
一般の方にとって適格な証人を自ら2名確保するのは大きな負担となりますが、本件では当事務所の司法書士およびスタッフが証人を担当。守秘義務を遵守し、プライベートな遺言内容が外部や他の親族に漏れる心配なく手続きを遂行しました。
♦「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の比較
遺言書にはご自身で手書きする自筆証書遺言もありますが、体調不良時や確実に想いを実現したいケースでは、公正証書遺言に圧倒的なメリットがあります。
| 比較項目 | 自筆証書遺言(自分で手書き) | 公正証書遺言(公証人が作成) |
|---|---|---|
| 病床・入院中の作成 | 全文自書が必要なため、手の震えや体力低下で作成が極めて困難 | 公証人が病院まで出張し、口頭の確認と署名・押印で完了可能 |
| 形式不備による無効 | 日付の書き忘れや押印漏れなどで無効になるリスクが高い | 公証人(法律の専門家)が作成するため無効リスクがほぼゼロ |
| 相続発生後の手続き | 家庭裁判所での「検認手続き」が必要(数週間〜数ヶ月の手間) | 検認不要ですぐに預金解約や名義変更の手続きが可能 |
| 原本の保管場所 | 自宅保管の場合、紛失・隠匿・改ざんの危険がある | 公証役場に原本が半永久的に保管されるため安全 |
♦東大阪市内の管轄公証役場情報
東大阪市内で公正証書遺言を作成する際、主に利用される公証役場は以下の「東大阪公証役場」です。出張作成の場合も、原則として管轄区域内の公証人が対応します。
| 名称 | 東大阪公証役場 |
|---|---|
| 所在地 | 〒577-0809 大阪府東大阪市永和2丁目1番1号 東大阪商工会議所3階 |
| 電話番号 / FAX | TEL:06-6725-3882 / FAX:06-6725-3883 |
| 執務時間 | 平日 9:00~12:00 / 13:00~17:00(土日祝・年末年始を除く) |
| 最寄り駅 | 近鉄奈良線「河内永和駅」・JRおおさか東線「JR河内永和駅」より徒歩約5分 |
♦解決までの期間と結果
施設から病院への入院という急な環境変化がありましたが、当事務所が速やかに公証役場および病院と調整を行い、ご相談から約3週間という短期間で病院内での作成を完了させることができました。
完成した公正証書の正本を手にした叔母様からは、
「入院してしまい一時はどうなることかと諦めかけていましたが、先生方が病院まで来てくださり、無事に甥へ預金を遺せる形が整って胸のつかえが降りました」
と、大変安心されたご様子でお喜びの声をいただきました。
♦担当司法書士からのアドバイス:生前対策は元気な今こそ行動を
「施設にいるから」「入院しているから」と、遺言書の作成を諦めてしまう方は少なくありません。しかし、公証人の出張制度を利用すれば、ご自身が動けない状態であっても法的に確実な公正証書遺言を残すことが可能です。
ただし、出張制度が利用できるのは「ご本人の意識がはっきりしていて、遺言内容を自分の言葉で公証人に伝えられる間」に限られます。急激な容体の悪化や認知症の進行によって意思疎通が難しくなると、どれほど周囲が希望しても遺言書を作ることはできなくなってしまいます。だからこそ、お元気なうちに遺言書を作成しておくことが非常に重要なのです。
東大阪で生前対策や遺言書作成をご検討中の方、あるいは「お世話になった特定の人に確実に財産を渡したい」とお悩みの方は、お早めに司法書士までご相談ください。ご本人の体調やご家族の状況に応じた最適な方法をご提案いたします。
東大阪 相続遺言相談室では相続・遺言の無料相談を実施中!
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